0人が本棚に入れています
本棚に追加
物思いにふけっていると視界を横切る白いうさぎ。
2足歩行で走っている。
あれって不思議な国のアリスの…。
「待って。どこにいくの?」
思わず尋ねてしまうが返事はない。
「急がないと。急がないと。」
という言葉が聞こえてきそうなほど慌ただしく走っている。
そうだ。
王子様を待っているのは楽しいがやはり今の時代、女は待つだけではいけないだろう。
これも運命だ。追いかけよう。
後ろからお母さまとお姉さまが私を呼ぶ声がする。
でもその声を無視して窓の鍵を開け、窓から降りた。
2階なので少し足が痛んだが下は芝生なので問題ない。
そのまま森の中を白うさぎを追いかけて走る。
「待って!」
止まってくれない白うさぎに追いつこうとしてさらにスピードを上げる。
でも、無我夢中になっていて私は向かってくる熊に気づかなかった。
とてつもない衝撃とともに全身から悲鳴が聞こえる。
宙に浮いている身体。
その時見えた光景で私は、やっと、鉄の塊にぶつかったことを理解した。
最初のコメントを投稿しよう!