13.慣れない関係

9/14
1510人が本棚に入れています
本棚に追加
/173ページ
行為のあともベッドの上でダラダラしていると、豪くんが僕の身体に手を伸ばしてきた。 「これ可愛い。似合ってる」  豪くんの手は僕の着ている、ふわもこルームウェアを撫でている。たしかにこれはふわふわで、肌触りがぬいぐるみみたいでとても気持ちがいい。 「うん。ありがと。着心地もいいよ」  リラックスウェア専門のお店で、枕と一緒に豪くんが買ってくれたんだけど、メンズのラインナップもあるのに、豪くんが「お前は細すぎる」という理由でレディースのピンクを僕にオススメしてきた。  まぁ、レディースでも着てみたらわざとオーバーサイズに作られているようだったから、僕がメンズを着たら大き過ぎたと思う。 「あー。でもやっぱりこっちがいいな」  豪くんの手は、ふわもこルームウェアじゃなく、僕の太腿を撫で回す。  僕は行為のあと、上しか着なかったから下半身は何も身につけていない。  そんな状態で、豪くんに触られるとドキドキする。 「凛、こっち向け」 「えっ?」  呼ばれて豪くんのほうを振り向くと、豪くんに身体を抱き寄せられ、チュッと唇を奪われた。  突然のことで僕は驚いて、目をぱちぱちさせていると、それを見た豪くんが笑った。 「可愛い......ずっと俺のそばにいろよ」  そう言って豪くんは目を閉じ、ウトウトし始めた。お仕事も忙しいみたいだし、疲れたのかもしれない。僕はそっと豪くんに布団をかけた。  ——ずっとそばに、か。  僕たちはいつまでこうして一緒にいられるんだろう。  豪くんが誰かと婚約するまで、かな。  僕は豪くんの婚約者にはなれない。どう足掻いたって男が女になることなんてないから。  僕は豪くんの寝顔を眺める。初めて見たときも思ったけど、豪くんはドキドキするくらいにかっこいい。 「好き」  隣にいる豪くんにも聞こえないくらいの小さな声で、僕は呟いた。  ピンポーン。 「あっ、来たっ!」  少し前に注文していたデリバリーが到着したみたいだ。 be559840-177e-4405-9964-90f1d2e0c89a
/173ページ

最初のコメントを投稿しよう!