2.とまどい

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2.とまどい

〜豪視点〜  婚約者騒ぎが終わったあと、俺は会社に戻り夜まで仕事を続けていた。いつもならすぐに終わる仕事が、なぜか集中できずに時間がかかったからだ。  クソ親父といい、麗花といい、俺を煩わせるなよ。面倒くさいな・・・  だが火の粉は振り払うしかない。無事に凛と契約は結べたし、あいつを上手く使えば婚約を回避できる。 「社長! 社長の立ち上げた新ブランドは大当たりです! これで城戸内グループでトップの売上になるのは確実ですね!」 「当たり前だろ」  秘書の長瀬(ながせ)はいちいち騒ぎすぎだ。周りがバカだから俺がトップになるに決まっている。  城戸内財閥は、財力を活かしていくつもの分野の会社を抱えているグループ企業だ。そのほとんどが身内の経営で、バカばっかりだから既存のものにあぐらをかいた経営をしていて、はっきり言って城戸内の面汚ししかいない。 「おいっ! 豪!」  社長室にズカズカとやってきたのは二番目の兄の(れん)だった。  こいつもバカだ。いつも優等生ぶってる偽善者でまったくもっていけ好かない。 「お前これなんなんだよ! また週刊誌にすっぱ抜かれてんぞ・・・」  蓮が持っていたのは発売前の週刊誌の原稿の写しのようだ。 『清純派女優Mがまさかの熱愛! 相手は城戸内グループのイケメン御曹司!』  という見出しで俺と女優Mが腕を組んでいる写真がデカデカと載っている。  気に食わない。これでは女優Mのほうが俺よりも上位かのような見出しだ。 df2a14f2-424f-46cf-808f-bd5f92fccec2
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