4.再会

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 それから三日後のことだ。  最近俺はなぜか気持ちが浮ついていて集中力に欠けるし、仕事のアイデアも浮かばない。  イレギュラーが続いて疲れているのだろうと俺はアルコールを飲みながら、ひとりで落ち着こうと会員制ラウンジに赴いた。  店内が見渡せるカウンター席につき、適当な赤ワインを注文する。  大して美味くもないワインを飲みながら、考えが及んだのは凛のことだ。  あいつの唇は柔らかかったな・・・  俺の人生初の、男とのキス。  まったく嫌悪感はなかった。むしろ気持ちよかった。あいつを女と思い込んでいたからだろう。  まぁ、キスなんて男も女も変わらない。そこに男だという先入観があるだけで、唇の形は一緒だし、悪くないに決まっている。  あの顔で経験済みかよ。  絶対にあいつは童貞だと思い込んでいた。それなのに男とホテルに行くなんて。  てかあいつ男が好きだったんだな。それならなんで俺からのキスは嫌がったんだよ・・・  ムカつくな。  気がついたら目の前のワインをあっという間に飲み干していた。  俺が空のグラスに腹を立て、バーテンダーを呼びつけようと顔を上げたときだった。 「・・・は?」  俺は自分の目を疑って、何度も見直したが見間違いじゃない。あれは凛だ。凛がここのラウンジで店員として働いている。  もちろん女装はしていない。普通の男のホールスタッフとして仕事をこなしていた。  なんであいつがここに・・・  あいつ…なんなんだ、男の姿でもあの破壊力か!  気になって横目でチラチラと凛の様子を伺う。  真面目なのはいいが、注文を受けて戻ってオーダーをする前に、次の客に呼び止められそれにも笑顔で対応している。それが終わるとまた客に呼ばれてそちらへ向かっていった。小さな用事を頼まれたようだった。無駄に客に声を掛けられてる気がする。  その直後テーブルを片付けるように上の者から指示されて、それも「はい!」と頷き、オーダーを通したあと丁寧に片付け作業に入る。  あいつの仕事っぷりはキャパオーバーじゃないのかと見ていて心配になってきた。  危なっかしいたらない。あっ、ほら、急ごうとするから人にぶつかりそうになった!   ああ……見てるこっちがハラハラしてくる。無理なら無理で断ればいいのに、なんであいつは全部引き受けようとするんだよ!  これは人手が足りないのも原因のひとつだ。俺はマネージャーを呼び出して「従業員管理がなってない!」と叱責し、俺様流の適切なアドバイスをしてやった。  スタッフが見てようが関係なくマネージャーを怒鳴りつけたから、周りがかなり引いていたが、そんなことは俺には関係ない。  フン。世の中バカだらけで本当にイライラする。
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