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その次の日、僕がアルバイトに行ったらみんながザワザワしていた。
「智くん、何があったの…?」
「あっ、凛! 聞いた?! びっくりすることが起きたんだ!」
アルバイト仲間の智くんが詳細を教えてくれた。
仕事のルールが大幅に変わっていた。
今まではスマートな接客のためにオーダーをメモすることは許されず、すべて記憶しなければならなかったけど、必要ならメモを取ってもよくなった。
ホールは担当のテーブルを決め、それ以外の仕事は声をかけられても各々担当に伝えて任せる。
イレギュラーにはアルバイトではなく店長もしくは店長代理の正社員が責任持って対応する。
シフトも大幅に改善されていて、店の売り上げが目標の120%を超えた日はアルバイト含めその日の従業員全員にインセンティブを与えることとなっている。
「なにそれ・・・」
「昨日来てたオーナーの弟さんが決めたんだって。あの威張ってるだけで何にもしない店長をみんなの前でこっ酷く怒鳴りつけたらしい。みんなもっと言ってやれって密かに笑ってたってさ」
「そんなことがあったんだ・・・」
昨日来てたオーナーの弟さん。それって豪さんのことだ。
豪さんがあの偉そうな店長を叱り飛ばして、業務の改善点をこと細かに提案してくれた…?
ルールが変わってからすごく働きやすくなった。
メモを取れるからオーダーミスもしなくなったし、必要以上の仕事は気軽に担当の人にお願い出来るようになった。
面倒くさいお客さんは店長に対応するよう言えるようになったし、忙しい日でもインセンティブがもらえると思うとみんなの士気が上がった。
同じ仕事場なのに、ルールひとつでこんなに仕事が楽になるなんて。
僕だけじゃない。みんなが豪さんに感謝してた。
豪さんはただの御曹司じゃない。経営の才能を持っているすごい人なんだな。
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