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僕がアルバイト仲間の智くんにどんな人かって訊ねたら、この店のオーナーの弟さんだって教えてくれた。
僕の働いている店は城戸内グループの長男・城戸内周さんが経営している店だった。ということは弟さんも御曹司、というわけだ。
周さんの弟さんの名前はわからなかったけど、選ばれし人なんだな、ということだけはよくわかった。
まさかあのときの彼にこんな形で出会うことになるなんて。
僕はびっくりしたけど従うことにした。何か事情があるのかもしれないし、なによりこの人のことが気になって仕方がなかった。
たどり着いたのはバンケットルームの一つで、僕を連れるこの人は迷いなく扉を開けて僕をその部屋の中に押し込んだ。
バンケットルームの中央には長い長いテーブルが設えてあって、正装をした人たちが座っている。お互い向き合って、何かの顔合わせみたいな感じ。
その人たちの視線が一斉に僕たちに集まる。
「豪。遅刻だぞ。早く座りなさい」
一番奥の席に座っている初老の男性が静かに言った。
「いいえ、座りません。ここにいる皆さまに紹介したい人がいるのです」
えっ・・・紹介したい人・・・?
「俺の婚約者です」
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