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豪くんと、駅近くのショッピングモールに来た。ここはいくつもの商業ビルや低層ショッピングモールが並んでいて、見ているだけでも僕はワクワクしてしまう。
豪くんとふたりで、まずは電子レンジと電気ケトルを見てみることになった。
家電量販店の電子レンジコーナーに着くなり、豪くんは「これでいい」と一番目立つ場所に展示してあるモデルを指差しそれに決めようとする。
「豪くん、決めるの早過ぎるよ。しかもこれ最新モデルだよ? 値段も一番高いし・・・費用対効果ってあるよね? ほら仕事だと豪くんもそういうこと気にするでしょ? 豪くんは普段全然使わないなら、そんな最新じゃなくても・・・コレとかどう?」
そこからの僕のプレゼンに豪くんが不思議そうな顔をする。
「意外だ・・・」
「うん? 何が…?」
「凛て、もっとぼーっとしててなんにも考えてないのかと・・・」
「えっ!? 豪くん酷っ!」
なんにも考えてないだなんて…そんなわけないのに。
悔しくて、僕は豪くんの腕をポカッと叩くと豪くんは「ごめん」と笑う。
「凛の言うとおりにする。驚いた。すごく的確な意見で納得させられた」
「え……」
「凛はコレがいいと思うんだろ? じゃあそれを買う」
「えっ?」
「お前は実は頼りになるのかもな」
豪くんは、僕の肩をぽんと叩いた。そして近くにいた店員さんを呼び寄せ、購入の旨を伝えて話し始めた。
豪くんに叩かれたときの感触の余韻がまだ残ってる。
豪くんに「頼りになる」なんて言われて僕は思わず顔がにやけてしまう。だって豪くんはなんでもできる。僕はお役には立てないと思ってたから。
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