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僕は枕を抱えて豪くんに見せる。豪くんの前で表裏をクルッとひっくり返してデザインを豪くんに見てもらえるようにして。
「どうって、それ・・・」
「豪くん、これなんだろうね。表裏でデザイン違う…」
「なんだろうって、それ、イエスノー枕だろ」
「イエスノー枕?」
僕が首をかしげると、豪くんは僕の耳元に唇を寄せてきた。
「寝込みを襲っていいときはイエス。セックスの気分じゃないときはノーを表にして使う枕だ。凛が俺に襲って欲しくても、恥ずかしくて言えないときに、俺に気持ちを伝えるための道具だ」
「えっ!?」
僕は枕を抱えたまま固まった。やばい。そんなラブなアイテムだったなんて知らなかった・・・
「買おう」
「ええっ!?」
「俺のベッドで寝るときに凛が使え。使い方はさっき凛に教えただろ? これで凛の正直な気持ちを教えて欲しい」
「う、うん……」
僕の正直な気持ち・・・
たしかにこれなら豪くんとエッチしたいときに便利かも。
豪くんに襲ってほしいときは、イエスにすればいいんだよね・・・
って、僕はいったい何を考えてる!
豪くんからいろいろ教えられてしまった僕は、すっかりベッドの上でのアレを楽しみにしちゃってる。
だって豪くんとそういうことをするのはすごく気持ちいい。エッチなことって、いけないことかと思っていたけど、きっとそんなことはない。
豪くんとは特別な関係なんだ、愛されてるんだって感じられるし、心も身体も満たされる感じがして、とってもいい。
「凛? どうした?」
僕がぼーっとしてたから豪くんが心配して僕の顔を覗き込んでくる。
その顔がまためちゃくちゃかっこよくてドキドキする。豪くんは顔が良すぎるんだ。あの形のいい唇がベッドの上で僕の身体を……。
考えただけで恥ずかしくて僕が枕で顔を隠すと、豪くんは笑った。
「凛。今夜はイエスにしろよ」
豪くんは僕の耳元でそう囁いたあと、ニヤッと笑って、「支払いしてくる」と僕が持っていた枕をサッと取り上げてレジに向かっていく。
「えっ……」
あれ、それってどういう意味……。
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