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「お前はどういう危機管理をしてるんだ? 知らない奴に簡単に連絡先を教えるな。そんなの常識だろ」
「まさかナンパなんて思わなかった…」
「いいか。俺が教えてやる。お前の顔は度を超えて綺麗だ。かなりのレベルだぞ。ひとりで街を歩けばナンパやいろんな誘いの声をかけられる。そういう類いのものは全部突っぱねろ。道を聞かれても、それはナンパだ。男が話しかけてきたら睨み返せ」
豪くんのありがたい教えも、僕の耳には届かない。だって僕は最初の「顔が綺麗だ」って豪くんが褒めてくれたことで頭がいっぱいになってしまったから。
豪くんは僕の見た目は嫌いじゃないのかな。だったらすごく嬉しい。
「凛っ、聞いてるか!?」
「え、あっ、うん……」
どうしよう、後のほうは全然聞いてなかった。
「要は、あまりひとりでウロウロするなってことだ。常に俺のそばにいろ。分かったか?」
「うんっ」
たしかに豪くんのそばにいれば安心だ。こんなに頼りになる人は他にいない。
こんな人が僕の恋人だなんて未だに信じられない。
僕が豪くんのことをニマニマ眺めていたら「あまり愛想を振りまくなよ。ホントに危なっかしい奴だな」と呆れ顔をされた。
買い物を終えたあと、豪くんの家に寄った。買ってきたものをひととおり片付けて、かいた汗をシャワーで流した。
今日、いろいろ豪くんのマンションのための家具を買ったけど、まだ豪くんの家はくつろぐ場所がなくて、なんとなくいつもベッドの上にいることになっちゃってる。だってここが一番ゴロゴロして休めるから。
僕は枕を背もたれ代わりにしながらスマホゲームに夢中になる。これ、始めると結構面白いんだよね。
同じくシャワーを済ませた豪くんが軽くノックして部屋にやってきた。その音は聞こえたけど僕はちょっと今ゲームから目を離せない。
「凛」
豪くんは僕のすぐ隣に座ってきたけど「あとちょっと待って」とあしらう。
「早く終わらせろ」
僕の頬に軽くキスしたあと、豪くんは僕の足に足を絡めてきた。そのあと僕の着ていたワンピース型のリラックスウェアの裾をめくって僕の太腿を撫でてくる。
「ちょっと豪くんっ、今はダメっ」
「なんで? だって枕はイエスだ」
そう言われてみれば、僕の寄りかかっている枕はたまたまイエスになっていた。豪くんはこれを見て迫ってきたんだ。
「凛。俺のほうを見ろよ」
「あっ……こら豪くんっ……」
豪くんの手が僕の下着にまで伸びてきて、さすがにゲームどころではなくなってしまった。
「凛、セックスしよう」
豪くんはついに僕の下着の中にまで手を入れて、僕を昂らせようとする。
「……んっ……あっ、あん……」
たまらず僕が身をよじると豪くんは「可愛い」と僕の耳朶に囁いた。
それからスマホを取り上げられ、呆気なく豪くんにベッドに組み敷かれる。
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