0人が本棚に入れています
本棚に追加
まさか、本物の探偵に出会えるなんて!
私って、ラッキー。今日のラッキーアイテム、ピンクのリボンが効いたのかもしれない。
「フーム、においますね」
あこがれの探偵のまねをして、言ってみる。
あの本物の探偵は私の指摘で犬が事件の鍵だということに気づいたみたい。つまり、あまり、優秀じゃないのかも。
これはそろばん教室に行ってる場合じゃないわね。私が手伝って、事件をププッと解決してあげないと。そうすれば、私が名探偵だってこと、ママもパパもわかるだろうし。
まずはさっきの探偵を気づかれないように尾行しなくちゃ。そして、探偵がピンチに陥ったら、私がさっそうと登場するのよ。
私は交番勤務の警官だ。私の休みの間に変な男がうろつき始めたらしく、パトロールを強化することになった。
変な男といっても、普通なら働いている時間にウロウロしていただけらしい。一応、似顔絵はあるが、はっきりしない。防犯カメラの映像でも普通の男という感じで特徴はあまりない。
少し気が緩んでいるところに緊急連絡があった。
小学一年生の女の子、斎藤みゆきちゃんが行方不明という連絡だ。そろばん教室に行くはずが、いつまでも来なかったらしい。母親は教室の前で別れたそうだが、少し早く着いたので、もしかすると、教室の前の公園で遊んでいたのかもしれないという。
慌てて、聞き込みを開始すると、みゆきちゃんが若い男と話をしていたのを見たという子供がいた。ただ、少し話をしただけで、すぐに別れたらしい。しかし、その後に行方不明になっているということはやはり、その男が原因の可能性が高い。三日前から少女を物色していたのなら、危険だ。
私は気を引き締めて、パトロールを続けた。
最初のコメントを投稿しよう!