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若く童顔で小柄な大人しい性格の新入りを見て、同じく囚人のヌエヌ氏は心をときめかせた。好みのどストライクだったのだ。同じ房に入れられていることもあり早速言い寄ったが拒絶され、ブチ切れる。
「おいこら坊主、生意気だぞぇ。お前は新入りなんだからよ、先輩の言うことは聞けや!」
ヌエヌ氏は大男で強面のヤクザである。そんな恐ろしい相手から関係を迫られ、若い新入りの囚人は怯えた。必死に逃げるけれど、狭い房の中で追いかけ回され、とうとう捕まってしまった。土下座して許しを請う。
「勘弁してください、どうか許して下さい、●×の穴だけは堪忍してください、手と口でやりますから、どうかお願いします……頑張りますから」
「そんなんでエブリスタのBL読者が満足するか! 腐女子を舐めるな!」
ヌエヌ氏によって何度も激しく暴行される新入りを、同房の囚人たちがニヤニヤ笑う。そんな日々がしばらく続き、遂に新入りは体を壊し、医療刑務所へ移送された。それっきり戻って来なかった。刑期が終わったのである。
やがてヌエヌ氏も出所した。組に戻ってブイブイ言わせていたら、恐るべき噂が耳に入ってきた。対立する暴力団が、その命を狙ってヒットマンを放ったのだという。
ヌエヌ氏は笑った。
「俺の命を狙うなんて、生意気な奴らだ。返り討ちにしてやる!」
そんなヌエヌ氏だったが、不意を打たれてしまっては、どうしようもない。右足の腿を拳銃で撃たれた。必死に逃げたが、ヒットマンは追いかけてくる。すぐに追い詰められた。這いつくばって命乞いをする。
「見逃して下さい、お願いします、出所したばかりなんです、死にたくありません、助けて下さい」
ヒットマンは新入りの囚人だった。憎悪で目をギラギラと輝かせた元囚人は、何も言わずにヌエヌ氏を射殺した。酷い目に遭わされた復讐のために自分の暴力団の組長へ志願しての凶行だった。
その後、ヒットマンは警察に追われ、逮捕された。彼の使用した拳銃は他の殺人事件でも使われたものであることが判明し、それらの容疑でも起訴された。他にも余罪があるものとして現在も警察に追及されているとのことである。
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