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がこん。
「要ります?」
すぐそばの自動販売機の前に立っていた男が上半身をねじるようにして、こちらを見ていた。
「え?」
「紅茶とコーヒーだったらどっち?」
「紅茶」
何がいい、と聞かれていたら多分無視しただろう。
二択だったから、ついうっかり答えてしまった。
「はいどうぞ」
ペットボトルの紅茶を差し出されて「え?」と男を見上げた。
「紅茶」
「でも」
「だーいじょうぶ、毒とか入ってない、怪しくない。今、ここで、自販機で買ったんだもの。見ていたでしょ? 買うところ」
「あ、はい。でも」
男はにこにことあたしの手に紅茶を押し付けると、言った。
「ね、飛び込むつもりなら、俺に撮らしてくれない? 動画」
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