とべない、とばない、終わらない

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   電車が通過する。  とび込めば一瞬で終わる。  どんなに痛くても、ちょっとの我慢で済む、と思いたい。  後の惨状(さんじょう)? 知らん。  みんなの迷惑? 知らん。  あたしがいなくなった世界のことまで考える余裕ないし、関係ないし。  ほら!  ピーッ。  笛の音。  発車の合図にドアは閉まり、電車は去っていく。 「はっ」  ふらふらとベンチまで歩き、どかっと体を預ける。 「やっぱり、無理」
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