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1998年秋。
僕は久しぶりに競馬に夢中だった。
サイレンススズカの走りが見れる。
彼の走りは人を惹きつける何かがあった。
大逃げ。
孤独との戦い。
ターゲットを持たないままゴールを目指す事の難しさ。
それでもコースを全力で走る馬。
究極美。そう黄金比を伴って物事を為すと美しいオーラを纏う。
だが、彼は千メートルを走って足を故障してしまった。
僕はそれ以来競馬に興味がなくなった。
2022年秋、競馬好きの知人から信じられない話を聞いた。
サイレンススズカが故障した同じレースで大逃げをかました馬がいたらしい。
その馬のタイムがサイレンススズカの1000mのタイムと全く一緒だったそうだ。
コンマまで一緒。そんな偶然って本当にあるんだ…と鳥肌が立った。
そして競馬ファンの間でサイレンススズカの再来とか『もしあの時サイレンスズカが怪我なく走っていたら勝敗はどうだっただろう?』と話題になったようだ。
僕は何度シュミレーションしても彼が逃げ粘って優勝する姿しか思い浮かばないのだが…。
了
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