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「だけど眺める時間が長くて良かった気もします。あなたの事たくさん、好きが溜まりました」
大人っぽいと感じて居たのに「あー!大事なこと先に言っちゃった!」と突然幼い顔で明るく笑い出した。
「好きです」
また緊張した真顔になって、今度は震える声で一言告げられた。
「あの……」
「あ、返事はいいです」
ぼんやりしてる頭に返事という言葉が飛んできて、ぐるぐる考え出そうとしたら
無意識に手が出てた。
「え? これ、」
「あ、あげる」
自分で口走った言葉に口から心臓でそうだ。差し出した手と一緒に花も震えてる。
俺は三年間この花を育てた。ずっと独りだと思ってた。だけど、こいつを一緒に見てくれてた。ずっと。
「返事は、それだ」
「え?花が? どういうこと」
俺から花を素直に受け取ったけれど、また幼い顔を覗かせて戸惑っている。
「教えるよ。キミだけに。あのね――」
ーおしまいー
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