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その日の昼、時間通りにg駅の改札口で
椎名くんを待っていた。
5分遅れで椎名くんがやって来たその手には、
小さな、手のひらサイズのブーケ。
「どうしたの、それ」
「すみません、彩子さんに渡したくて。
荷物になりますか、これ」
「嬉しいよ。ありがとう。もらっていい?」
「あ、はい。どうぞ」
こんなキザなこと普通にしちゃうんだと
椎名くんを眩しく感じた。
「それより、遅れてすみません」
「大丈夫だよ、大して待ってないから」
「そうですか」
「うん。私には気を遣わないで?」
「はい、ありがとうございます」
椎名くんと並んで歩き始めたら、
男女問わずの多くの通行人が、
椎名くんに視線を送っているのがわかった。
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