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「高校の時に、ちょっとだけ付き合ってた
子がいましたけど、それ以来です。ずっと
それから上手くいかなくて」
「私は、失恋したばかり」
「えっ、付き合ってる人ですか」
「ううん、普通に友達だけど。
会社の同期に片想いしてたの」
「そうだったんですか‥‥そいつ、見る目が
ないですよ。彩子さんを振るなんて」
「かもね」
あははと笑った私を、椎名くんが見つめる。
「もう、傷は癒えましたか?俺で良ければ
話を聞くんで。早く立ち直ってくださいね」
「ありがとう、もう大丈夫。ねえ。今度、
その彼に会ってもらえない?」
「どうしてですか」
「彼が椎名くんに会いたいって言ってるの。
彼は私を心配してるみたい。椎名くんが、
私を傷つける人じゃないかをね」
「自分は充分傷つけておいて、何を言って
るんですかね」
「ホントだよね。無理なら無理で大丈夫」
「いえ、会います。俺も彩子さんが好きに
なった人をこの目で確かめたい」
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