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あ、ここですと木の立て看板が置かれた
店の前で、椎名くんが立ち止まった。
「入りましょう」
ドアを押さえ、先に中に入れてくれよう
とする椎名くんに軽く頭を下げた。
「ホント、優しいよね」
「違いますよ?彩子さんだからです」
「ありがとう、嬉しいなあ」
中に入り、店員に奥の席に案内された。
椎名くんと向かい合わせで座り、
メニューを手にした私は、椎名くんに
真っ赤な顔で見つめられているのに
気づいた。
「どうしたの、メニュー一緒に見ようか」
「はい」
「え、何何」
「こんな風に彩子さんといられることが
嬉しくて。ありがとうございます」
「こちらこそ。誘ってくれてありがとう」
「胸が詰まって、食べられないかも‥‥」
「じゃあ、半分こにする?」
「恥ずかしくてもっと食べられません‥‥」
かわいいなあと、思わず笑みが漏れた。
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