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「川瀬くん、その人って」
震える声で彼にそう尋ねると、
彼は私の揺れる気持ちに気づくことなく、
「うん、彼氏」
と言った。
「私‥‥初めて会った時から川瀬くんが」
傷口に塩を塗るように告白した私に、
彼は微笑みながら写真を見せてきた。
そして、最初の発言に繋がるのだ。
写真の男の子は、彼に肩を抱かれ
幸せそうな笑顔を作っていた。
彼の恋人の存在を知ったその日、
ショック過ぎて仕事に手がつかず、
どうやって自宅に帰ってきたかも
覚えていない。
人生で失恋した経験がなくはなかったけど、
これにはかなり傷ついた。
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