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それでも彼は私にとって得難い存在で、
友達でいいからそばにいたいと思うように
なれたのは、失恋から約1ヶ月後の
夏の雨の夜にかかってきた、彼からの電話。
ひとり暮らしの部屋で缶ビールを傾け、
私は映画を観ていた。
「彩子、まだ起きてる?少し話そうよ」
「うん」
彩子だなんて、
まるで彼の彼女みたいな呼び方。
帰国子女の彼は、何度目かのサシ飲みの時に
周りとは違う自分の他人との距離感の近さに
悩んでいると打ち明けてくれていた。
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