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「また、また。本当は付き合いたいんでしょ。こんなに一途なんだから。でも、奏多君、女の子に全然興味ないよね」
「そうだよね。琉奈の気持ち、奏多君も流石にわかってるのにね。もう三年もストーカーやってるんだから」
「誰がストーカーだ」
私は、美月の頭をポンと叩く。
でも、本当に奏多君と付き合いたいとか、好きとかいう感情はなかった。ただ、気になる。奏多君が走っていると、無性に胸がかきむしられた。だけど、他の子にはこの気持ちが理解出来ないみたいだった。男の子を気になるイコール恋愛だと思われた。でも、私は何が恋愛なのかはよくわかっていなかったけど、やっぱり好きとは違う気がした。奏多君の走る姿を見ていると、なぜか悲しくなった。どこか苦しそうだった。私はその理由が知りたいのかもしれない。
最近ずっと走り込みが続いていたから、これからは調整に入って、今日からは比較的軽い練習メニューになった。私は入念にストレッチをしながら、奏多君の走りを見る。
奏多君は100メートルと200メートルの選手だ。今日はスタートの練習をやっているらしく、10メートル程のダッシュを何回も走っている。
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