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ただぼんやりとグラウンドを走っていた。奏多君が部活に来なくなって二週間、陸上部の雰囲気が暗く沈んでいた。
「琉奈、ペース落ちてるよ。上げてこ」
隣で一緒に走っていた由佳が腕時計を見ながら指示を出す。でも、きつい言い方ではなかった。ただ、義務的に言っているだけだった。いつもならだらだら走っているとコーチもすぐに気づいて叱ってくれるけど、最近コーチはずっと静かだ。静かっていうより、いろんなことが上の空だった。奏多君が陸上部を辞めるって噂も出ていた。
「琉奈は、辞めないよね?」
部活終わり着替えていると、由佳と美月が真剣な眼差しで私に尋ねた。
「え? あ、そっか」
「そっかって、何よ。辞める気なの?」
由佳が私に詰め寄ってきた。
「ごめん、ごめん。別に辞める気ないよ。大丈夫だから」
私はそう言いながら気づいた。私は奏多君を見るために陸上部に入ったから、奏多君が辞めたら辞めるって思われているんだ。でも、確かに、私は奏多君が辞めたら陸上部にいる理由はなくなるけど、でも、由佳も美月もずっと一緒に頑張ってきた仲間だし、引退するまでは一緒に頑張りたい。
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