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家のドアを開ける。
その瞬間蝉の音で世界が溢れた。
『あぁ、この日が来たんだ』という実感を与えてくれるこの音は、私は嫌いでは無い。
浴衣を着ていてそれに合わせて髪もセットした。
あまり汗はかきたくなくてソロソロと木陰を進む。
それでも、日が傾いて来たこの時間に容赦ないほどの熱気が漂っている。
もしかしたらこの先の空気が熱気を増させているのかもしれない。
焦げ付くソースの匂いがする。
人々の掛け声がする。
提灯の灯りが通りを照らす。
今日は、夏祭りだ。
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