届かぬ背中に、届けこの音

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 それから約1年後、高校3年生の秋。文化祭の日がやってきた。  聖哉たち軽音楽部は体育館でバンド演奏を披露するらしい。  結局、俺たちはサッカー部をやめてからと言うものの、あまり話もしなくなってしまった。  その日も俺は、聖哉よりも早く家を出て学校に向かうことにしたのだ。  学校に着くと、俺は教室でクラスメイトたちに挨拶をした。  俺たちのクラスではお化け屋敷の出し物をすることになっている。  当日になってみれば、やることなどほとんどないが、気を引き締めないといけない。  そう思いながら、クラスメイトたちと話をしていたが、何故か担任の先生が慌てた様子で入ってきて俺に声をかけた。 「大変なことになりました! あなたのお兄さん、聖哉くんが登校途中で交通事故に遭って――」  ――その言葉に、俺の頭は真っ白になった。聖哉が、一体、なんだって……?
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