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その後、聖哉は突然勉学に目覚めて、進学校の中学受験に挑戦。見事合格した。
偏差値の低い私立中学に進むことになった俺は、せめて高校は一緒になりたいと勉学に励んだ。
一方、聖哉は中学では剣道部に入ったらしい。
どうせそれもすぐにやめるだろうと思っていたら意外にもこれは長く続いて、初段の免状を獲得した。
俺はときどき、傘とかほうきとかを竹刀に見立てて素振りをしていた。ただ、それだけだ。
要するに俺は、いつも聖哉の真似っこばかりしていた。
しかも、本気で挑んだものなどひとつもなかった。どれも中途半端だ。
尤も聖哉も飽き性だから、たいしたことがないまま終わってしまったものもいくつかあったけど、どれも才能は感じられた。
もしも、その道一本で頑張っていたのなら、プロにだってなれていたのではないかというくらいには。
俺は高校は聖哉と同じ学校に通うことになったが、勉学で追いついたわけではない。
ただ、聖哉が勉強をサボって俺の偏差値まで下がってきただけだ。
無論、それだって本気を出せば、いつでも俺を大きく引き離してしまうのだろう。
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