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翔は手紙を小説の文字を一文字一文字をしっかりと、確かめる様にゆっくりと読んでいた。
翔は手紙を読み終える、「・・・ハル」と、ため息をつく様な独り言をつぶやいた。
優衣は気になり、「お友達から手紙には、何って書いていたの?」と、手紙を読み終えた翔に話しかけた。
「“今年の3月20日、高校時代に皆で集まった場所で会いたい。待っているから„って・・・」と、深刻な表情で言いながら手紙をテーブルに置いた。
「そうなんだ」
翔の深刻な表情で、優衣は何かを感じとった。
「翔くん、久しぶりに1人で地元に帰ってみたら?あたし、こっち(東京)にいるからさぁ」
思い詰めた顔する翔は、優衣の言葉が聞こえていない様子であった。
少し時間が経ってから翔は一呼吸し、「・・・なぁ、優衣」と、どこかぎこちない感じで言う。
「うん?」
優衣は翔の方に顔を向けた。
「一緒に・・・来てくれないかぁ?」と、優衣に何か不安そうな表情で翔は言う。
「えっ?」
「何って言うかぁ・・・」
不安そうな素振りを見せる翔は、優衣にとっては初めてだった。
優衣と出会った頃から翔はどこかクールなところがあり、弱音なんて言う人間では無かった。
優衣はそんな翔を情けないとか、同情する様な感情を湧くことがなく。
逆に弱い所を見た翔に安心し、嬉しそうな笑顔でうなずく優衣。
「うん、いいよ」
3月16日、2人は翔の地元である青森県弘前市に向かった。
青森県へと向かう新幹線の車中では、翔は普段と違う雰囲気で、なにか思いつめた顔で車窓から景色を見つめていた。
―2002年6月、翔が高校1年生の頃―
15歳の頃の翔は、古き良き建物と新しい建物の町中を、古びえれたロードバイクを漕ぎながら、春から通っている中央高校に向かう。
「やべぇ・・・!今日も遅刻した!!」
昼休み、翔は買ったパンを高校の屋上で食べていた。
「・・・あぁ。高校って、つまらないなぁ」
あの頃のオレは、思春期だった事もあったけど。
≪生きる≫って意味を知りたいと思っていた。
今になっては、そんなことを考えられる事が幸せだったと思う。
翔はゆっくりと流れる雲を見上げると、誰かが屋上に来た。
「あっ!見つけた」
翔はその声を聞くなり、不機嫌な気持ちになった。
男子は嬉しそうな顔で、翔に近寄る。
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