迷探偵しゃーろっく ほーむれす        (車鍵 家次)

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俺はイギリス生まれ日本育ちのハーフの男 日本人の父とイギリス人の母の間に生まれた 自称イケメン。 その名も車鍵 家次(しゃじょう いえつぐ) 父親が仕事でイギリスに来ていた時に 母に出会って父が一目惚れしたらしい。 イギリスにいたのは3歳までその後父親の国 日本に来たという訳。 子供心に幸せを感じられていたのは4歳くらいまで 何故かと言うと、母親は俺が5歳の時に俺を置いて イギリスに帰っちまった。 いつからか母親がイギリスに帰る前まで 父親と母親の喧嘩が絶えなかったのを 子供心に覚えている。 そんな幼少時代を過ごした俺だが 俺が20歳になった時父親が死んでしまったのだが それまでブラブラして定職につかないでいた俺。 父親が残した50万円を元に(この50万円は父親の 全財産だったのだ) 思いつきで探偵という職業を選んではや10年に なろうとしていた。 事務所を借りてそこで寝泊まりしながら 細々と10年間食い繋いできたのだった。 そんな俺も今じゃもうすぐアラサー 独身、当初探偵は儲かるかもなどと 思っていたが、、、、碌な仕事が入ってこない ペット探しとか人探しとか、、、。 つい先日、子供が500円玉を握りしめて 「飼っていたカマキリが逃げたから見つけて 欲しい」 なんてどうしようもない依頼があった。 その時の俺は所持金が38円しか無かった。 その500円に目が眩んだ俺はその子供から 500円を依頼金として カマキリ探しを請負ったのだった。 だが同じカマキリなんて見つかる訳がない。 咄嗟に思いついたのはその辺の空き地でカマキリを 見つけてその子供に渡してやれば良いくらいの考えで 500円欲しさにすぐにカマキリを探し回った。 「しっかり探してよね!」 などと小生意気な言葉を残して子供は帰っていった。 ムカつきながら虫取り網を手に近所の畑を探し回る。 その子供がクレヨンで描いたカマキリの似顔絵? を頼りに畑の中をうろついていると 何と、大きさが同じくらいのカマキリを 見つけたのだ。 それを捕獲して依頼者の子供に連絡を取る 「君のカマキリ見つけたぞ!すぐに取りに 来てくれ」 子供はすぐに事務所に来た。 そしてカマキリを子供に渡す。 子供は暫くカマキリを眺めてから 「おじさん!カマ男はどこにいたの?」 カマ男?何だそれ?と思いながら 「事務所の裏の畑にいたんだ」 そう告げると 「カマ男の羽をみてよ」 といきなり言ってきた。 よく見ると白い色で何か印のような物がついていた。 「この印僕がつけたんだ、他のカマキリと見分けが 付くようにね」 と偉そうに言っていた。 「よく見つけてくれたね、この印のことは おじさんに内緒にしてたんだ! 別のカマキリを持って来た時にすぐにわかるからね よく探してくれたね、おじさん」 奇跡的にカマ男を見つけたが 俺はこのガキを蟷螂拳でお仕置きをしたくなったが そこはグッと堪えて 「そうだろ、おじさんにかかれば こんなの朝飯前の仕事さ」 拳を握りしめながらそのガキに言った。 子供は、 「おじさん!これお礼だよ」 ガキがそう言いながら100円玉をデスクに置いて 「探してくれてありがとう」 と言って「カマ男」を虫籠に入れて帰っていった。 俺はガキが置いていった100円玉を見つめ おもむろにそれをポケットに入れた。
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