『魔法の子』(みやこ 独白)

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『魔法の子』(みやこ 独白)

 わたしのパパはマジシャンだった。  そしてわたしのママは魔女だった。  ママはわたしがだいぶ小さい頃に死んじゃったから、あまりよく覚えていないけど……  明日はどんな天気が来るのかとか。  少しばかりだけど大切な人の未来が見えたりとか。  病気で困ってる人とかを、薬草を使って助けたりしていたらしい。  そんなママと結婚したパパは、ママみたいなすごいことは出来ないけど……  まるで本当に魔法を使っているみたいに――何もないところから花やトランプを舞い上がらせたりして、よくアッとお客さんを驚かせていた。  「……わたしにも、何かできるのかな」  両てのひらをジッと見つめて、思う。  わたしの、小さな手。  汚い手、みにくい手。  パパとママから生まれたのに、全然違う手。  同じ形だけど、全然違う手。  ――だけど。  2人は、あの両手で誰かを“幸せにする”魔法を生み出してきた。  それなら、わたしも何かしたい。  パパやママみたいに、誰かを幸せにできる魔法をやってみたい。  確かにわたしは、みにくいままだけど。  みにくいままでも、やれることは何でもやってみたい。  ぎゅっと。てのひらをにぎって、自分のおしりを叩くように気合を入れた。 .
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