『居場所』(透みや)

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『居場所』(透みや)

 自分に、帰る場所なんてない。  ここにいちゃあ、いけない。  生きていちゃあ、いけない。  全部、自分が醜くて汚いせいなんだって。  ずっと、思ってきた。  だけど、今は……  「帰ろっか、みやこちゃん」  差し伸べられる、透さんのキレイなてのひら。  恐る恐るその手を握れば、大きくて。  ちょっと熱いくらい、あったかかった。  「――はい」  夕焼けに染まった帰り道を、いっしょに歩けるようになった。 .
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