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鬼の王
隼太はストイックにゲームに参加を続けた。飽きることがない。もっと、もっと強くなりたい。勝ち残りたい。連合鬼の間は立場も年齢も性別も関係ない。それぞれが出せる力を出してぶつかり合い、手を取り合い、寄せ集めの結束をする。集団でありながら究極の個人戦だ。
暇があれば連合鬼のことを考えて笑みを浮かべてしまう。学校にいる間は気を付けようと思っているのだが。友人に邪悪と言われる笑みを浮かべていたことに気付いて周囲を見渡し、誰にも見られていないとホッとしたその時、友人が廊下から教室に大声をあげて駆け込んできた。
「大変だ、鬼の王が現れた!」
「マジかよ!? あの条件を達成したってこと!?」
「夜凪だ。やりやがった……」
とんでもない偉業だ。何度もやっているからわかる。100回逃げ切ることがどれほど難しいか。友人の血の気は引いていた。たぶん、隼太も。おそらく、運営すら達成する者が出るとは考えていなかった。その証拠に一時予定していたイベントを休止し、運営は今後の話し合いを行った。そして、半月後、公式に発表された。
夜凪は鬼の王として君臨することになった。狩られるまで鬼であり続ける。相変わらず謎のプレイヤーのまま。
「鬼の王に挑戦する」
隼太はそう心に決めた。そのためにまずは英雄を目指そう。生き残り続けて同じ土俵に立ってやる。絶対に追いついて捕まえたい。
イベント開始時間が来る。運営は告げる。
「インスティンクト リリース」
本能を解放せよ。
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