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 20〷年、じわじわと流行(はや)り出し、進化し、ついにはオリンピック競技になるかと(ささや)かされるほどの規模になりつつある遊技があった。元の遊びは鬼ごっこだ。テレビ番組なのでチームの鬼ごっこが流行り、流行りのアニメも影響しながらもっとシンプルに若者が進化させ、年齢性別問わず遊ぶ人間が増えていった。場所を問わず行うものが増え、一時迷惑行為が問題となったため廃止を恐れたゲーマーが組織を立ち上げ、イベントとして行われるようになって5年。実は正式名称はない。通称は『連鬼』『連合鬼』が一番多い。  ルールを説明しよう。鬼ごっことは最早完全に違うルールだ。  其の一、基本装備は捕縛アイテム、マーカー。  其の二、鬼と鬼狩りに分かれる。鬼狩りは鉢巻を付ける。  其の三、基本的に鬼は逃げながら交戦し、鬼狩りは攻めながら防戦する。  其の四、チームメンバーは開始30分前に開示される。  其の五、補助アイテム使用する時は直接相手に被害のないことを絶対のルールとする。  其の六、ゲーム終了が宣言された時点での残り人数で勝敗を競う。  其の七、ゲームエリアは発表のあった範囲のみとし、エリア外に出ても失格となる。  其の八、拠点エリアではバトル無効。救護室を兼ねるため。  特別ルール、鬼で連続100回逃げ切ったプレイヤーは鬼の王となる。狩人で連続100回ゲーム終了まで生き残ったプレイヤーは英雄となる。  発表されるまで組む相手がわからない。仲が良かろうが悪かろうが、知り合いであろう初対面であろうが、初心者だろうが熟練者だろうがチームとして相手と戦わなければいけないことから、連れ合う、連れ合った仲間とのゲーム、連合鬼と呼ばれるようになったらしい。  事前にプレイヤーの情報をどれだけ仕入れるか、いざ一緒に組むことになった時どれほど多くの戦略を打ち出せるか、事前に発表されるゲームエリアをどれほど熟知して利用できるか。連合鬼はゲームプレイの前から始まっている。その奥の深さが人気の理由かもしれない。  「鬼狩りは宣誓(せんせい)する。数多の鬼を追い詰め、狩り、己の力と他者の力を合わせ任務に尽くすことを」  「鬼は宣誓する。鬼狩りの攻撃をかわし、身を潜め、己が力と仲間とで最強の鬼であるべく戦うことを」  「インスティンクト リリース」
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