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-1-
祖母が亡くなり、田舎の家を見に行った。裏山に小人たちの村があるなんて、聞いてないぞ。
『ここは我らの祖先が宿る聖地なのです』
私は彼らの新しい庇護者になったらしい。
『代わりにあなたの運気を上げます』
祖母は健康運に極振りしてたらしい。なるほど最期まで元気だったわけだ。
-2-
その画家が描く人物は、いつも寝ていた。
安らかな寝顔を題材とする作家として、それなりに売れていた。
「夜は私だけの時間がたっぷりあるんだ。皆、夜明けや夕方しか遊んでくれないから」
彼は吸血鬼として夜を愛しており、しかしまた昼の住人達の事も愛しているのだった。
-3-
飼い猫の調子が悪い。高齢だが、残りの時間を引き延ばしたくて動物病院へ車で向かう。その途中、トラックと衝突して僕は即死だった。
なんてことだ。せめて愛猫には生きていて欲しかったのに。
転生先は大きな屋敷の飼い猫だった。
「今度は私の番ですね」
飼い主にも前世の記憶があるらしい。
-4-
生まれつき容姿が良かったので、小さい頃からモテた。
女子がギスギスしないよう皆に平等に気を遣い、男子が嫌がらせしてくれば弱者フォローに努めて味方になり。
でもホームから突き落とされて人生終了した。転生先は庶民のフツメン。
ああ、放っておいてもらえる自由! 普通って生きやすい!
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修学旅行のバスが崖から転落し、どうやら大勢の同級生が一緒に転生したらしい。
金融システムを改善する奴、料理人になる奴、有名どころは前世の記憶持ちばかり。
最近話題の新興宗教は、来世で高位スキル持ちに転生できると謳って信者を増やしているらしいが、誰だ教祖始めたの。
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彼の作る器は素晴らしかった。作品作りに没頭するため、人里離れた家に住まう彼を訪ねた。
「取材? 嫌だね。僕がどんな人間であっても、器を見る人には関係ない。
だからこれをやってるんだ」
ああ、彼も自分が嫌いなのか。
自分に求めることのできない理想を、造形に求めて生きている。
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親の反対を押し切って、絵を描くために家を出た。曰くつきの安アパートで課題の絵を描いていたが、朝起きたら部屋が真っ赤な手形だらけになっていた。
ふざけるな、てめえの表現はてめえのエリアでやれ!
と紙を買ってきて隣に置く。
最初はヤケクソ味があったが、最近は工夫が見て取れる。
-8-
『聖域の巫女』に選ばれた。
これから私は辺境の塔から出ることなく、聖書や歴史書を読み、神に祈りをささげて一生を過ごすのだ。
夜更けに人が訪ねてきた。私と代わりたい子がいるそうだ。
……家族に虐待されやせ細っているあの子か、周囲に一切興味を持たず本ばかり読んでいるあの子か。
-9-
副業で便利屋をやっている。
「あの魔物は『狂乱の暴食』と呼ばれてまして」
生物でも家屋でも毒でも岩山でも、全てが捕食対象。災害級の厄介者が今回の依頼。
「…イイね!」
実は、本業はスカウトマン。
異世界でスカウトした奴を故郷の世界に連れ帰る。こいつは大規模ゴミ処理問題に、必ず役立つ。
-10-
織姫と彦星は逢瀬に夢中になり、仕事をしなくなったため、怒った天帝は二人を川で隔てました。
年に一度しか会えない二人はやがてネットに溺れ、仕事からも恋愛からも遠ざかりました。
「あの時二人を許していれば、子供が生まれ今頃は子孫も増えていたろうに」
天の少子化も進んでいます。
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