泡沫の刻

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* 僕の苦しい生活が再開された。 昨日までの、楽しくて幸せな生活とは比べ物にならない過酷な日々だ。 アルマンと入れ替わってる間に、港の荷運びの仕事はクビになっていた。 彼にはやはりこの仕事は無理だったようだ。 この仕事はきつい分、給金も良い。 だから、僕は親方に頭を下げ、どうにかまた雇ってもらえるようになった。 僕があれだけのお金を渡していたというのに、借金はさらに膨らんでいた。 以前よりも生活は過酷なものとなっていたのだ。 だけど、僕はもうこの暮らしから逃げようとは思わない。 いや、思ってはいけないんだ。 僕は、アルマンに、取り返しのつかないことをしてしまったのだから… どんなに苦しくとも、僕はこの困難に立ち向かわねばならない。 それが、僕に唯一出来る罪滅ぼしなのだから… (アルマン…どうか、僕を赦しておくれ…) 心の中で手を合わせながら、僕はただひたすらに働いた。 僕にはそうするしかないんだ… 僕は…僕の人生に立ち向かうしかないんだ…! 僕のせいで、短く散ってしまった優しい親友・アルマンのためにも… ~fin.
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