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第1章 本物のクリスタル
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ふむ、どうしたものか……。
リルは悩んでいた。以前6個のクリスタルを拾ったはいいものの、その活用方法を未だに見出せないでいたのだ。
試しに1つ自分で使ってみようか? ……いや、それは論外だ。
碌な思い出のない魔法少女になるなんて心が拒むし、魔法少女へ変身している間は妖精に体が乗っ取られた状態となる為、何かとリスクが伴う。宿主の意識が不在なのを良いことに、妖精が何をしでかすか分からない。
だがこのまま不用意に手元に置き続けるのも得策とは言えない。
クリスタルは、かつてリグマの切り札として用いられていた重要なアイテム。それが今も存在しているとなれば、ディアランドの悪魔たちはそれを手に入れようと動き出すだろう。
そうなれば私はクリスタルを守る為の戦いに身を投じなければならない―― 馬鹿馬鹿しい。
もしかしたら、私にとってクリスタルは百害あって一利なしなのだろうか? 役に立たないのであれば、うっかり奴らに強奪されてしまわない内にさっさと厄介払いするのが吉だ。リルはそう考えた。
どうせなら奴らの対抗馬となり得る人間共にくれてやるのも、処分方法としてはアリかもしれない――。
◆
ラストの城に乗り込んでから2週間余り。
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