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リルは思い立ったように6個の中から白い色をしたクリスタルを手に取ると、また元のように引き出しを閉め、ダイニングテーブルの上で折り紙を折って遊んでいる星恋七の元へ向かった。
「星恋七。あんた、魔法が使えるようになりたいの」
突然の問いかけに星恋七はポカンとしていたが、やがて「うん!」と元気よく返事をする。
「なら魔法少女になればいい。いずれクリスタルを処分しようと思っていたところだから、どうせなら1つあげる」
「魔法少女になる……?」
星恋七は不思議そうな顔をしながら、リルからクリスタルを受け取る。それを手のひらの上に乗せていろいろな角度から観察したり、指の先でツンツンしたりして弄ぶ。
「これも、お父さんとお母さんが作ったの……?」
まさか。リルは首を横に振った。
「あんたの親が作りたがってた“本物の”クリスタルがそれだよ。前に森の中で偶然見つけた」
それを聞いた星恋七の目が見開かれる。
以前春空家の地下室へ足を踏み入れた際、そこで行われていた事を推測できる範囲で星恋七に話してある。だから星恋七は自分の両親が完全なクリスタルを欲していた事をよく理解しているだろう。そんな父と母が人生をかけてでも手に入れたいと願った物が突然目の前に現れたのだから驚くのも無理はない。
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