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僕が初めて君を見たのは、君の横顔だった。 君が並ぶ列の隣に、僕がいた。 横顔を見ただけで、恋に堕ちるのか? 不思議であったが、君は僕に強い印象を与えた。 それ以後、僕は君に関心を持った。 僕は11歳、君は一つ年下だった。 学校の廊下ですれ違うたびに、僕は君の顔を見ることが出来なかった。 話をする事も無く、ただ後ろ姿を見つめるだけ。 そんな、淡い恋だった。 君と初めて話したの、僕が中学2年生の時クラブの練習で、 同じ講堂を使用している時だった。 僕は野球部、君はテニス部。 その日は、土砂降りの雨の日、外で練習する事出来ない。 テニス部は女性だけのクラブであった。 今思うと不思議である。何故男子が居なかったのだろうか? 野球部は、勿論男子だけである。 野球部とテニス部の合同のクラブ活動。 野球部15名、テニス部13名。 先ずは講堂の外周をランニング。 軽い体操の後、野球部とテニス部は別々の練習メニューとなった。 だが、距離は近い。 真剣に練習に励む彼女は、中学一年生。 先輩の指示を受け練習メニューをこなしている。 彼女は身長が高く中学一年には思えない。 また、顔も美しく女優の広瀬すずに似ている。 彼女の存在するところには、いつも華がある。 僕は、練習をしている最中でも彼女の事が気になった。 「おい、矢神どこ見てんだよ。」 と、キャプテンに声をかけられた。 キャプテンは一つ年上の三年生。 いい遅れたが、私の名前は矢神真司。 「すいません。」 と、慌てて視線を戻した。 「女を気にしてたら、怪我するぞ!」 と、辛辣に云う。 その言葉が彼女に聞こえたのか、僕の顔を見て微笑んでくれた。 彼女の名前は小塚明子。 ほほ笑む笑顔も美しい😍。 練習も終わり、帰宅時間になった。 だが、雨は降り続いている。 学校の入り口で薄暗い空を見上げて雨を見ていた。 その時である。 後から、可愛い声が聞こえた。 「私の事が気になるの?」と振り返ると、彼女がいる。 「今日の練習中、貴方の視線を感じていたよ。」 と、側に寄って小声で囁く。 私の心臓は❤️、爆発するのかと想うぐらいに激しく高鳴る。 誰も居ない二人の世界。
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