四礼目 雨よ上がれ

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「数Bと英会話と、後、現代文に化学Ⅱ……って、ほぼ半分じゃねーか!」 「うん。流石に、九科目中四科目とか、もう、どうしようもないよね。」  結局、宗也は、試験後も、涼と和仁に叱れている。 「待ってくれ。現代文と化学は、赤点回避まであとちょっとだったんだよ!」 「ともかく、強制退部を回避しないと。」 「強制退部?なんだそれ。」 「涼、知らなかったのか。うちの学校は、補習後の再テストで、五十点以下だと、部活をやってる生徒は、強制退部させられるんだよ。」 「はっ?聞いてねーぞ、それ。」 「ごめん。てか、転入試験をパスしてる時点で、涼には関係ないと思ってたんだよね。本音を言うと。」  眼鏡の奥で、にこやかに微笑むその顔は、やはり、ドSのそれだった。    起こってしまったことは仕方がないので、目の前で、部室の畳に突っ伏している宗也へと視線を戻す。 「で、現実問題どうする?」  和仁は、目を細め、涼の方を見て返した。  「四科目赤点は、過去最高だけど……。誰か一週間で、宗也にも理解できるくらい解り易く勉強を教えてくれる人、いないかな……?」 「俺も今回教えたぞ?それに、自習ならともかく、コイツの理解力に合わせるなんて、余程内容が理解出来てないと無理だろ。もはや勉強のプロみたいなやつじゃないと。」  涼の言葉を最後に、沈黙が続く。勉強が得意で、理解力と集中力の乏しい宗也に、根気強く教えてくれる人でなければならない。  突っ伏していた宗也がため息をついたその時、これまで一言も発さず、宗也の答案を見つめていた秋が、口を開いた。  「……辰ちゃんに頼もう。」
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