鏡の中の他人(2000字のホラー)

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鏡に写る自分の顔に翳りがあるのを、見つけてしまった。 始めは最近の寝不足の故に、顔に精彩が無いのかと思っていたのだが 何処が違う。 そう言えば、以前友達から「最近元気が無いな」と言われた事があったが、 「そんな事はない」と高を括っていた。 そんなある日、 「お前、この頃、独り言ばかり言っているな?どうかしたのか! 顔色も悪いし、病院に行った方が良いのではないか?」 と、突然私は会社の先輩から注意をされた。 顔色が悪いのは自覚しているのだが、独り言に対しての認識は無かった。 「独り言?僕って独り言を言っているのですか?」 と、不審な気持ちで先輩に訊ねた。 「言っているよ、認識して無いのか。何か解らない事をぶつぶつ言ってるよ。 白日夢を観ているかの様に、『お前は誰だ!何処から来た?』と呟いているよ。 嘘だと思うのなら、他の誰かに確かめたらどうだ?」 と、先輩は自信を持っているかの様に私に言った。 私は他の人に確かめる勇気はなかった。 だが心配してくれた先輩を私は、無視し凝りもせずに鏡を見るたびに 「お前は誰だ?何処から来た!」 と、毎日毎日呪文を唱えるかの様に言い続けた。
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