0人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
鏡に写る自分の顔に翳りがあるのを、見つけてしまった。
始めは最近の寝不足の故に、顔に精彩が無いのかと思っていたのだが
何処が違う。
そう言えば、以前友達から「最近元気が無いな」と言われた事があったが、
「そんな事はない」と高を括っていた。
そんなある日、
「お前、この頃、独り言ばかり言っているな?どうかしたのか!
顔色も悪いし、病院に行った方が良いのではないか?」
と、突然私は会社の先輩から注意をされた。
顔色が悪いのは自覚しているのだが、独り言に対しての認識は無かった。
「独り言?僕って独り言を言っているのですか?」
と、不審な気持ちで先輩に訊ねた。
「言っているよ、認識して無いのか。何か解らない事をぶつぶつ言ってるよ。
白日夢を観ているかの様に、『お前は誰だ!何処から来た?』と呟いているよ。
嘘だと思うのなら、他の誰かに確かめたらどうだ?」
と、先輩は自信を持っているかの様に私に言った。
私は他の人に確かめる勇気はなかった。
だが心配してくれた先輩を私は、無視し凝りもせずに鏡を見るたびに
「お前は誰だ?何処から来た!」
と、毎日毎日呪文を唱えるかの様に言い続けた。
最初のコメントを投稿しよう!