鏡の中の他人(2000字のホラー)

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その様な呪文の為であろうか、 鏡に写った私の顔が、自分の顔に思えなくなってきた。 他人では無いが、以前の自分の顔がはっきりと思い出せないのである。 この様な顔だったと思ってはいるのだが、違う様な気もする。 自分が自分で無いような、鏡を見る度に 「知らない他人が私を観ている!」 と、云う感情に襲われてきたのだった。「 何だろう?この顔は、これが私か!」と感じる事も頻繁に起こり 鏡に向かって自問したその時である。 鏡に写った顔がニヤリと、笑ったのだ。 私が、笑ったのではない筈である。私は深刻な表情でいた筈だ! そんな馬鹿な事は無いと、鏡を凝視してみたが、 鏡に写った姿は誰のものか判らないと、感じていた。 目の錯覚か、それとも疲れている為の幻想か!と思い直し、少しばかりの恐怖を感じたが、私はまだ強くは気にも留めずにいた。私は確かめたかったのだ。馬鹿げた事だと知りながら 鏡に写る他人がどの様な人物であるかを。 私はこの様な健康状態になっても、鏡に向かって 「お前は誰だ!何処から来た?」と、問いかける事を辞め様とはしなかった。 それは、私の中に棲みついた別の誰かに、操れている行動であったのかも
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