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2ー2 鍛練
この世界にも精霊たちは、存在する。
彼らは、世界にあまねく行き渡っている。
ただ、この世界の人々が知らないだけ。
精霊たちは、わたしがティンパロを演奏するとわたしの周囲に集まってきた。
マオが言うにはわたしの奏でる音楽を感じて喜んでいるのだそうだ。
演奏するわたしの周囲できらきら輝く精霊たちにわたしを指導するラティマ先生は、驚いていた。
「まるで奏でられる音が輝きを放っているようだわ」
ラティマ先生は、いたく感動してわたしの後見人であるアルタス様に進言した。
「この方は、特別な奏者です。このままティンパロの勉強を続けられるべきでございます」
ラティマ先生に言われてアルタス様は、わたしに問われた。
「カイラは、どう思うかね?」
「わたしは、音楽は好きです」
わたしがおずおずと答えるとアルタス様は、ふむ、と頷かれた。
「いいだろう。王都に行ってもティンパロは続けなさい。しかし、音楽を奏でる騎士か」
アルタス様は、優しくわたしの頭を撫でてくださった。
「まあ、女が騎士になることも珍しいことだしな。音楽だって奏でてもいいだろう」
わたしが一番苦手だったのは、勉強ではなかった。
剣の鍛練が一番辛かった。
アルタス様は、わたしに立派な長剣を与えてくださった。
だが、わたしは、今までに刃物は、ナイフより他に持ったことがなかったのだ。
剣の家庭教師であるギリウス先生は、わたしに素振りをさせたが、あまりの酷さに路線を変更した。
「まずは、体力をつけなくてはならないな」
ギリウス先生は、わたしにアルタス様のお屋敷の周辺をひたすら走るようにと仰った。
それから、孤児院育ちで、やせっぽちなわたしにもっと栄養のあるものを食べさせるようにとアルタス様に進言した。
「この娘は、このままでは痩せ犬一匹剣では倒せませんな。もっと筋肉をつけなくては」
というわけでわたしの食事は、領主であるアルタス様や、ウルティア様たちよりも常に一品多くなった。
なんか、すごく申し訳ない。
わたしがそう思っているのを察してお二人は、わたしに笑顔を向けた。
「カイラは、痩せすぎだ。もっと太った方がいい」
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