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2ー3 変化
そんな感じでわたしは、日々勉学やら鍛練やらに励んでいた。
ついていくのに必死だったわたしは、いろんなことを振り返っている暇もなかった。
今まで暮らしていた孤児院のこと。
そして、前世のこと。
何よりもわたしを気に入ってくださり騎士にと望まれたという聖女アニノマス様のこと。
領主様のお屋敷での暮らしになんとか慣れてきたころ、わたしは、クルトフ先生に訊ねたことがあった。
「聖女アニノマス様ってどんな方なんですか?」
もと王の魔道師団にいたこともあるというクルトフ先生は、ふん、と鼻を鳴らした。
「聖女様は、清く正しく、そして、美しいお方だ」
はい?
わたしは、まじまじとクルトフ先生のことを見つめた。
わたしがきいたのは、もっと個人的なことだったのだが、どうやらクルトフ先生は、あまり聖女様のことを知らないようだ。
「聖女様がどうこうなんておそれ多い。あのお方は、存在だけでも尊いのだ」
クルトフ先生は、わたしに語った。
「望めばなんでも手に入るというのに今まであのお方は何も望まれることがなかった。今回、お前を騎士にといわれたのは、あのお方が初めていわれた我が儘だ」
そうなんだ。
クルトフ先生の話にわたしは、なんとなく納得した。
めったに我が儘もいわない尊いお方がたまたま望まれたためにわたしは、騎士に取り立てられることになったのだ。
わたしは、聖女アニノマス様に感謝した。
あの方がわたしを孤児院から救いだしてくれなければわたしは、たぶんどこかの物好きな商人か貴族に売り飛ばされていたことだろう。
こうしていろいろなことを学ばしてもらえて、しかもみんなに親切にしてもらえて、わたしは、今、すごく幸せだ。
うん。
わたしは、心に決めた。
騎士になろう。
あの聖女アニノマス様の騎士に。
そのためには、どんなことだってやりとげてみせよう。
わたしは、ますます懸命に励むようになった。
わたしは、お屋敷の誰よりもはやく起き出して勉強したり体を鍛えたりしていた。
やせっぽちだったわたしは、どんどん丈夫になっていった。
マオもそうだ。
アルタス様のお屋敷にきてからマオは、どんどん成長していた。
最初、普通の猫よりちょっと大きかっただけだったのが、今では、小型の竜ほどの大きさになっていた。
もう、わたしが騎乗することも可能だ。
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