第1章 お化けの姫君

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 1ー5 二人部屋  ルイーズのせいでわたしは、調理人から後でたっぷりと叱られた。  「ほんとに愚図のくせに、態度も悪いんだからな!」  調理人は、わたしを睨み付けた。  「まったくちっとはルイーズのことを見習えばいいのによ!」  わたしは、何もいわずに自分の部屋に戻るとベッドに腰かけていつものように窓の外を眺めた。  その部屋は、年長者用の二人部屋で、わたしとルイーズで使っていた。  だけど、ルイーズのベッドの方は、もうシーツが片付けられていて、細々したものもなくなっていた。  「ルイーズは、もう、養い親の方のもとに引き取られたのよ」  部屋のドアが勢いよく開いてわたしより二歳ほど幼い赤毛の女の子が荷物を抱えて入ってきた。  「今日からここは、あたしのものよ」  女の子は、確か、メイサという名だった。  メイサは、ベッドまわりを片付けるとわたしに告げた。  「ほんとは、あんたと同室なんて嫌だったけど、二人部屋になれるんだし我慢するわ。できるだけ、話しかけないでね、カイラ」  メイサの言葉にマオが不服そうに呻いた。  メイサは、大袈裟に驚いた顔をするとわたしに言った。  「そいつをあたしにけしかけないでよ。もし、ちょっとでもあたしに害を加えたらあんたたちがここにいられなくしてやるから」  マジか。  わたしは、メイサをじっと見上げた。  この子は、どうやってわたしたちをここにいられなくする気なんだろう?  ルイーズの不在は、夕食時にみんなに知らされた。  みんな、悲しそうな顔をしていたし、何人かは泣き出す子もいた。  けど、わたしは、平気だった。  あんな性格の悪い子、いなくなってせいせいする。  わたしは、黙って静かにトゲゴボウと芋のスープの夕食を食べるとそそくさと部屋へと去った。  そんなわたしをみんな腹立たしげに見ていたけど、わたしは、気にしない。  女神は、ルイーズには、いいものを与えたけど、わたしには、与えてくれなかった。  それだけ。  わたしは、部屋に帰ってベッドに倒れ込んだ。  ああ。  もしも、神様がいるのなら。  わたしは、そっと瞳を閉じた。    
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