第68話 住む世界

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「イヴェリス……!」  目が覚めると、隣にイヴェリスの姿がなかった。ベランダにも、洗面所にも、お風呂にもいない。  電話をかけても出ない。   「ゴグッ! ゴグいないのっ?」  ゴグを呼んでも、ベッドから出てくる気配はなかった。 「トマリ! トマリ!!」  お店に行って、扉を叩く。もしかしたら、ここに来ているかもしれないと思って。 「どうした」 「イヴェリスが、いなくなっちゃった」 「イヴェリスが?」 「うんっ、私がイヴェリスのこと傷つけちゃった」  昨日も散々泣いたのに、涙が次から次に溢れてくる。  トマリは居るのに、イヴェリスがいないなんて。 「イヴェリス、どこに行ったかわからない……?」 「すまない。今はわからない」 「もしイヴェリスに会ったら、帰って来てって伝えてくれる?」 「ああ。伝える。伝えるから泣くな」  本当はイヴェリスに泣くなって言われたいのに、涙を拭ってもらいたいのに。  ねえ、どこに行っちゃったの。  私を一人にして行かないでよ。
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