3.妄想と現実

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 私は老婆が眠りについたのを見届けスタッフルームへと戻った。 「お疲れさま。渡辺さんの様子はどうだった?」 「ええ、特に変わりありませんでした。またお姉さんの話をしていましたよ。何度聞いても薄気味悪くて……。あれ、全部作り話なんですよね? お姉さんを刺したとかいう話」  もちろん彼女の妄想よ、と先輩スタッフが笑う。 「だってあの方のお姉さん、ご存命だもの」 「え、そうなんですか?」 「たまに面会に来てるわよ。そっか、佐藤さんが担当になってからはまだ来てなかったね。まぁ本人はお姉さんだって認識できてないみたいだけどね……」 「それにしても何であんな話を繰り返すんでしょうか」 「さぁ……」  誰もその理由は知らなかった。
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