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私は老婆が眠りについたのを見届けスタッフルームへと戻った。
「お疲れさま。渡辺さんの様子はどうだった?」
「ええ、特に変わりありませんでした。またお姉さんの話をしていましたよ。何度聞いても薄気味悪くて……。あれ、全部作り話なんですよね? お姉さんを刺したとかいう話」
もちろん彼女の妄想よ、と先輩スタッフが笑う。
「だってあの方のお姉さん、ご存命だもの」
「え、そうなんですか?」
「たまに面会に来てるわよ。そっか、佐藤さんが担当になってからはまだ来てなかったね。まぁ本人はお姉さんだって認識できてないみたいだけどね……」
「それにしても何であんな話を繰り返すんでしょうか」
「さぁ……」
誰もその理由は知らなかった。
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