7人が本棚に入れています
本棚に追加
上田さんが部屋をでると、入れ違いのように真田さんがやってきた。
「那結菜ちゃん、どうかしたの?」
「なにがです?」
特に難しい顔をしていたわけでもないと思う。
「いや、さっき部長がこの部屋から出てくるのが目に入ったから…」
さっきのことだろう。
「特に何も無いですよ。強いて言えば、明後日には事件を解決して欲しいと言われだけですよ。」
「えっ!」
真田さんが驚きの声を発した。
「どうかしたんですか?」
「どうかしたんですか?じゃなくて!」
言いずらそうにしながら真田さんは言った。
「…明後日には事件を解決して欲しい、なんて…いくら那結菜ちゃんでも…」
言葉を遮る。
「大丈夫ですよ。部長さんにも言いましたが、もう少しで解決出来そうなんで」
真田さんは言葉が出ない、という表情をしていた。その表情があまりにも面白すぎる。
ふと我に帰ったのだろうか、真田さんが言う。
「そうだ!那結菜ちゃん、海雲華さんの居場所が分かったよ。今は西田大学に進学してるよ」
(西田大学…それって…)
真田さんを見上げると小さく頷いた。
「松田さんと同じ大学だよ」
(やっぱり…)
「真田さんは…偶然、だと思いますか?」
少しの沈黙が流れる。
「…ただの偶然とは捉えがたいよね…」
「お願いしても、いいですか?」
「もちろんだよ」
そう言うと真田さんは部屋を出た。
点と点が繋がりひとつの線となってきた。
悪い結末が起こらなければいいのだけれど。
そう考えていると、今度はお父さんが部屋にやってきた。
「那結菜、メッセージがきてて、舞香ちゃんからだよ」
(舞香から?…良い予感はしない)
そう思いながら、お父さんのスマホに届いたメッセージを見る。
『ねぇ、那結菜どこにいるの?本当にあの事件に関わってないよね?』
(やっぱり…)
感の鋭い舞香には敵わない。
私は「ちょっと出かけてるだけだよ」と送り返し、メッセージ画面を閉じた。
最初のコメントを投稿しよう!