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第4話
舞香にバレればタダでは済まない。
前にひったくりがあったとき、犯人が潜伏している場所を推測すると本当にそこにいたのだ。
その事件に2日ほど関わっただけだったが、舞香は1週間口を聞いてくれなかった。
そんな過去があるのだ。
舞香に今回もバレればどうなるのか想像もつかない。
けれど、そうであってもこの事件は解決したい。
あと、少しだけ。
考えよう。
時間は有限なのだから。
松田さんは西田大学に通う4年生。
棚田さんは丸太株式会社に務める社員。
棚田さんがコンビニに勤めていた頃、教育係として松田さんに着いていた。
そして、海雲さんは松田さんに誘われ高校時代に同じコンビニで働き、やめている。
けれど、松田さんと同じ大学に通っている。
これはただの偶然なのだろうか。
偶然にしては出来すぎている。
松田さんと棚田さんがコンビニの強盗を通じて再開。でも、2人は初めてあった人だと言った。
出来すぎているし、不自然だ。
この3人の中で1番謎が多いのは、海雲華さんという人物。
全てが直ぐに分かるはずもない。
1つ1つ確実に調べなければ、小さな1つを見落としてしまう可能性だってある。
真田さんからの情報を待つしかない。
そんなことを考えていると、数時間経っている。
何に時間を費やしているんだろう。
思考しすぎたのかもしれない。
(そろそろお腹すいたかも…)
そう思いながら、コンビニへ行くためにお父さんを探しに行った。
ふと、隣の部屋にいるのではないかと思い部屋の前に向かって歩いていると、閉まっていたドアが急に開いた。
驚いて立ち止まると背丈の大きな人が立っていた。
顔を上げると、上田さんがいた。
目がしっかりあった。
なんて言われるのだろう。
先に言葉を発したのは上田さんだった。
「どうかしたのかい?那結菜ちゃん」
「あ、お父さんを探してて…」
立って話すと身長差で圧がある。
「ああ、もうすぐ出てくると思うよ」
「そうなんですね、ありがとうございます」
すると、ドアがガチャ、と音を立てて開いた。
そこから出てきたのはお父さんだった。
真田さんと話しながら出てきた。
2人がこっちに気がつくと立ち止まった。
「那結菜!」
びっくりした様子の父だ。
「那結菜、何か分かったのか?」
食い気味に聞いてくる父。
私が自ら行く時は全部事件に関わることなんだと誤解でもしているのではないだろうか。
決してそんな訳ないのに。
「……あー、えっと…」
なんと切り出すか迷っていると真田さんと目があった。
「那結菜ちゃん、お腹すいてない?」
真田は私が言いたいことを汲み取ってくれた。
「少し、空きました…」
真田さんは微笑んだ。
「お昼にでも行こうか」
「真田、いいのか?事件の捜査中じゃないのか?」
そう真田さんに上田さんが聞く。
「そうですけど、1番捜査を行ってる子がお腹空かしてたら進展なんて有り得ませんよ」
と返していた。
うちのお父さんよりも真田さんはいいお父さんなんだろうなぁ、なんて思いながら私、お父さん、真田さん、上田さんの4人で署から近くのファミレスに向かった。
捜査中の刑事さんとは思えないお昼だ。
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