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「西町で、強盗があったんだよ。だけど、その犯人の姿が見つからないんだ。…もちろん防犯カメラの映像も確認してある。ただ…」
真田さんの言葉が濁る。
「ただ?」
「ただ、目撃者の言っていることが2人とも違うんだ…」
(2人とも言っていることが…違う)
「その人たちの証言教えてください」
【目撃者1人目】
「私はあの時、コンビニで会計をしていたんです。…そしたら、ドアから急に拳銃を持った2人の男が入ってきたんです。もちろん、顔は隠していましたが、体格からみても男だと思います。店員さんに袋を渡して、現金を入れていました。犯人たちは、銃をこっちに向けていて…私…怖くて……」
【目撃者2人目】
「僕はあの時お客さんのレジ打ちをしていました。時間的にも人が少ないので、あの時は僕1人でした。それで…ドアから急に拳銃を持った3人の男女が入ってきたんです。1人が女の方で、あと2人が男の人でした。そしたら、1人の男が袋を投げつけてきて……袋に現金を詰めろ、と……」
(確かに2人とも言っていることが違う…だけど…)
「真田さん、お願いがあります」
「お願い…?」
「はい、目撃者の方にお話は聞けますか?」
「まだ、署の中に居ると思うから、探してみようか」
少し歩いて、関係者しか入れない所へ行く。
会議室にいると言われ、会議室へ向かう。
会議室の扉を開けると、2人の男女がいた。
真田さんが、「失礼します」といい、私と真田さんが2人の対面に座る。
真田さんが、聞く。
「何度も聞かれているかもしれませんが、あと少しだけ、お願いします。」
すると、女性が言った。
「それは構いません。…なので、一刻も早く、犯人を捕まえて下さい。」
「最善を尽くします」
少しの沈黙が起こる。私が真田さんの服の裾を引くと、気づいて沈黙を破ってくれた。
「では、時間が無いため、お聞きします。」
私が紙に書いた質問事項を渡す。
「1つ目ですが、お2人はどんなお仕事を?」
女性の方が答える。
「私は、丸太株式会社で勤務しています。」
「僕は、西田大学に通っている大学生です。」
真田さんに2枚目の紙を渡す。
「お2人は、色んな人と関わりを持っていたりしますか?」
「私は、仕事の関係上、お客様との接客が業務ですので…それなりに関わりはあります」
「僕は、就職のためにも、色んな職業を見て回ったり、他の学校の先生や、生徒とも関わりを持っています」
「なるほど、分かりました。では、最後にお2人は面識はありませんでしたか?」
女性が答える。
「はい、たまたまです」
「そうですか、わかりました。ありがとうございました。」
会議室を出て移動する。
私は真田さんに聞いた。
「真田さん、あの2人の身元とかそういうの分かりますか?」
「身元?」
聞き返されても仕方がない。
「身元です。」
「…いや、調べてはないと思うけど、」
「なら、調べて貰ってもいいですか?」
「構わないけど、理由を聞いても?」
「個人情報を本人にあの場で聞くよりも、こっちが調べる方が早いじゃないですか」
「まぁ、それはそうなのかもしれないけど…まぁ、調べさせてみるよ」
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