第1話

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「西町で、強盗があったんだよ。だけど、その犯人の姿が見つからないんだ。…もちろん防犯カメラの映像も確認してある。ただ…」 真田さんの言葉が濁る。 「ただ?」 「ただ、目撃者の言っていることが2人とも違うんだ…」 (2人とも言っていることが…違う) 「その人たちの証言教えてください」 【目撃者1人目】 「私はあの時、コンビニで会計をしていたんです。…そしたら、ドアから急に拳銃を持った2人の男が入ってきたんです。もちろん、顔は隠していましたが、体格からみても男だと思います。店員さんに袋を渡して、現金を入れていました。犯人たちは、銃をこっちに向けていて…私…怖くて……」 【目撃者2人目】 「僕はあの時お客さんのレジ打ちをしていました。時間的にも人が少ないので、あの時は僕1人でした。それで…ドアから急に拳銃を持った3人の男女が入ってきたんです。1人が女の方で、あと2人が男の人でした。そしたら、1人の男が袋を投げつけてきて……袋に現金を詰めろ、と……」 (確かに2人とも言っていることが違う…だけど…) 「真田さん、お願いがあります」 「お願い…?」 「はい、目撃者の方にお話は聞けますか?」 「まだ、署の中に居ると思うから、探してみようか」 少し歩いて、関係者しか入れない所へ行く。 会議室にいると言われ、会議室へ向かう。 会議室の扉を開けると、2人の男女がいた。 真田さんが、「失礼します」といい、私と真田さんが2人の対面に座る。 真田さんが、聞く。 「何度も聞かれているかもしれませんが、あと少しだけ、お願いします。」 すると、女性が言った。 「それは構いません。…なので、一刻も早く、犯人を捕まえて下さい。」 「最善を尽くします」 少しの沈黙が起こる。私が真田さんの服の裾を引くと、気づいて沈黙を破ってくれた。 「では、時間が無いため、お聞きします。」 私が紙に書いた質問事項を渡す。 「1つ目ですが、お2人はどんなお仕事を?」 女性の方が答える。 「私は、丸太株式会社で勤務しています。」 「僕は、西田大学に通っている大学生です。」 真田さんに2枚目の紙を渡す。 「お2人は、色んな人と関わりを持っていたりしますか?」 「私は、仕事の関係上、お客様との接客が業務ですので…それなりに関わりはあります」 「僕は、就職のためにも、色んな職業を見て回ったり、他の学校の先生や、生徒とも関わりを持っています」 「なるほど、分かりました。では、最後にお2人は面識はありませんでしたか?」 女性が答える。 「はい、たまたまです」 「そうですか、わかりました。ありがとうございました。」 会議室を出て移動する。 私は真田さんに聞いた。 「真田さん、あの2人の身元とかそういうの分かりますか?」 「身元?」 聞き返されても仕方がない。 「身元です。」 「…いや、調べてはないと思うけど、」 「なら、調べて貰ってもいいですか?」 「構わないけど、理由を聞いても?」 「個人情報を本人にあの場で聞くよりも、こっちが調べる方が早いじゃないですか」 「まぁ、それはそうなのかもしれないけど…まぁ、調べさせてみるよ」
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