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(今日は、鍵を渡しに来ただけなんだけどなぁ)
「那結菜ちゃん!」
後ろから声がかけられる。
真田さんだ。
「那結菜ちゃん、分かったよ、調べがついた」
「本当ですか!?」
「ああ、まず、目撃者1人目の女性。名前は、棚田彩。彼女が言っていたように、丸太株式会社の社員だった。入社して、5年目だったよ。それで、目撃者2人目の男性。名前は、松田迅。彼も言うように西田大学の学生だったよ。」
「松田さんは大学何年生ですか?」
「大学4年生、だね」
「2人とも、仕事を変えたり、転校したりはしていませんか?」
「えっと…ああ、棚田さんは今の丸太株式会社に務める前までは、事件の起こったコンビニでアルバイトをしてたみたいだよ」
「いつ頃の話ですか?」
「丸太株式会社に務める前から2年間だね、」
「松田さんが今のコンビニでバイトをしているのはどれぐらいですか?」
「高校1年生から、だね」
(高校1年生、今が大学4年生だから、6年目…)
「おかしいと思いませんか?真田さん」
「おかしい?」
「はい、だって、棚田さんは今の丸太株式会社に務める前の2年間今回事件の起こったコンビニで務めていたんですよ?今から7年程前です。そして、松田さんは、高校1年生から大学4年生の今まで、6年間同じコンビニでバイトをしているんです。」
真田さんが声を上げる。
「あ!そうか!おかしい!」
「…真田さん、お父さんに連絡して貰えますか?」
「分かった」
「那結菜ちゃん、1度都賀…お父さん戻ってくるって」
「わかりました」
真田さんに案内された部屋で待っていると、ドアが勢いよく開いた。それと同時に名前を呼ばれる。
「那結菜!」
振り返ると、お父さんがいた。
「おっそ」
「ちょ!那結菜!会って第一声がそれ!?酷くない!?我が娘よ!」
「分かったから、ちょっと黙ろっか」
傷ついた表情を見せるお父さんに、真田さんは「どんまい」と笑いかけた。
「…ねぇ、お父さん、本当に警察?」
無言なお父さんに反して、後ろで真田さんが笑いを必死で堪えていた。
「な、なゆ、那結菜?」
「えっ、だって、そうでしょ?この事件の全体が分かってきたんだけど…」
「本当か!?」
事件のことを口にすると、本当に食い付きがいい。
「本当だよ」
「教えてくれ!一体どうすれば…」
「分かったから、一旦落ち着きなって…というか、全体が分かってきただけだから、まだ教えれないけど…お父さん、知りたい?事件の真相を」
「知りたいさ!」
「なら、まずは、全てを知らないと、ね?」
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