第10話

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「棚田ですね」 ええ、と相槌を返してくる。 「棚田さんは周りの人からは欲望が強かったと証言を受けてます。欲望が強いなんて、1つしか当てはまる大罪、ないですよね?」 「そうなの?」 明らかにとぼけてる。 「棚田さんは欲望がんです。それに当てはまる大罪は、色欲が1番当てはまることないですか?」 「パチパチパチ……すごいね。那結菜ちゃん」 「褒めてくれてるんですか?」 「それ以外に何があるの?」 これは本心なのだろうか……。 そう考えるけれど、考える時間を与えてくれない。 「なら、次は松田くんかな?」 「そうですね。松田さんは少し考えましたよ。でも、周りを見下していた、ということから私の中で出てくるのは1つ。傲慢だけでした。どうです?」 静かに拍手だけが鳴る。 あっているのだろう。 私はそれに続ける。 「ここで1つ。悩んだことがあります。海雲は自ら捕まってるじゃないですか。てことは海雲さんも大罪に含むと思うんです」 「もうそんなことまでわかったの?」 そういった海雲さんの表情は笑っていた。 (予想外では無かった、って事か……) 「海雲さんは、独占欲が強いタイプですよね。」 「やっぱり分かるのね……」 「だから、海雲さんは強欲です」 「お見通しね……なんだか、面白くないわね……」 「そうですか?こんなに海雲さんの謎を解いてるのにですか?とかれないよりは面白くないですか?」 「ふふ。まぁ、それもそうね……」 少しの沈黙。 その沈黙を破ったのは海雲さんだ。 「あら、お話はおしまいかしら?」 「今はここまでです。」 あまり背を向けないようにして部屋からでる。 ちょうど廊下の奥から真田さんが迎えに来ていた。 「どうだった?那結菜ちゃん」 そう聞かれた。 「そうですね……答え合わせは全て出来ましたし、大罪は合ってました。でも、ここからです」 「そうだね……」 その話を最後に黙ったまま部屋に戻った。
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