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お父さんたちと話し合い、海雲の取調に行ってから1時間。
海雲さんは認めたらしい。
全ての事を。
けれど、松田さんと棚田さんは認めていない。
海雲さんは認めても、松田さん達が認めないと話にならない。
どうするべきなのだろうか。
これ以上手はない。
いくら真田さんが情報、いわゆる証拠を集めていると言ってもあと少しもすればこちらが詰む。
どれだけ足掻いても情報にも、時間にも限りはある。
そう思っていると、上田さんがやってきた。
「那結菜ちゃん、提案があるんだ。」
「提案、ですか?」
「そうだ。一か八かだけどな……」
そう言いながら私の方を見る。
どうぞ、という意味を込めて頷く。
上田さんが言うのだ。本当に一か八かなのだろう。
「……提案というのは、海雲さんが認めた罪を償わせることだ」
松田さんと棚田さんが原因……きっかけとなったことを省いて海雲さんだけの罪を見ると言うことだろう。
(罪自体は軽くなるだろうけれど……)
「あの……私が松田さんと棚田さんに直接お話は出来ませんか?」
「確かにその方法を取れるならありがたい。けれど、ここまで那結菜ちゃんには協力をして貰ったし、これ以上無理はさせれないと思っているんだ」
そこまで考えてくれたんだ。
けれど、この事件を解決するために手段は使うべきだと思う。
「だめ……でしょうか?私が行けば最終的に認めさせれると思うんですけど」
そう言った私の前で上田さんは頭を抱えていた。
「どーしたものか。那結菜ちゃんのお父さんになんて伝えようか」
お父さんは面倒だろうな。
「そのまま伝えてくれていいですよ。特に問題はないので」
そう言うと上田さんは準備をしてくるよ、と言って部屋を出た。
それから10分後。
上田さんがもう一度部屋へやってきた。
「那結菜ちゃん、準備が出来たよ。……説明するよ。棚田さんと松田さんは別々の部屋にいる事、それぞれに刑事が着いてるからそこは覚えといて」
「分かりました」
そう言って部屋へ移動する。
手前の部屋の扉を開けると、松田さんがいた。
「こんにちは」
そう挨拶をすると松田さんからも返事が返ってきた。
「……こんにちは。あの……君子供だよね?僕にまた何か用?」
覚えていることを意外に思ってしまった。
「覚えててくれてありがとうございます。用があるから来たんですよ」
呆れ顔を浮かべる松田さん。
無視して続ける。
「あの、松田さんは棚田さんとは顔見知りじゃないって言ってましたけど、嘘ですよね?」
「はっ、なんでそう思うの?僕は嘘なんてつかないけど?さっきから刑事さんにも言ってる事だけど?」
そんなことを言うとは思っていた。
「えー、でもですよ?棚田さんは松田さんと面識があるって認めましたよ?」
明らかに反応した。
「そ、そんなわけないだろ。面識なんてないんだよ?」
(認めないんだ……)
「あれ?てことは、棚田さんは嘘をついたってことですか?」
「そ、そうにきまってるだろ」
「……嘘をついてまで守りたいものがあるんですか?そうですね、例えば今回の事件の犯人だけが知っていて、他の人に知られるとまずいこと、とか」
眉が一瞬動いた。
あっているだろう。
手の内を少しあかせば認めるかな……。
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